オシオキSweetie

(製作元:裸足少女

 

序論

 最近ではPCでリリースされる18禁のゲームのジャンルがエロゲーに替わって“美少女ゲー”と呼ばれるようになってきている。これは現状ではシナリオを重視し、萌えを前面に押し出した作品が業界の主流を占めており、18禁PCゲーが持っているエロという要素はあくまでもシナリオのひとつの演出に過ぎないという考え方が市民権を得てきた結果と考えられるが、このような風潮では本来(旧来?)の本質であったエロを前面に押し出した作品は低評価に甘んじざるを得ない。(萌えゲーに対して抜きゲーと括られる事自体に反主流的なニュアンスを感じるのは評者だけだろうか?)ユーザーが望む“シナリオ本位の純愛型のゲーム”とエロを共存させる事は非常に難しく、これらの作品はある一定のパイを取り合う事を余儀なくされる。(新規開拓を主導的な役割を萌え系の作品群に譲った段階で、抜きゲーは“ディープ”なジャンルのひとつになったと考えられるかも知れない)
 新規層の取り込みより、特定の層の取りこぼしを少なくする事が安定したセールスに繋がる・・・本作もそのような作品群の典型のひとつと考える事が出来るだろう。エロをひたすらに追求する為に特化された様々な魅力、本作においては『巨乳』と『卑猥なセリフ』がそれに当たるが、狭くそして深く追求されたそれは一旦捕らえたユーザーを放さない力を持っている。

 

シナリオ・・・12点/15点

 純愛(萌え)ゲーでは大きな部分を占める、お目当てのヒロインと恋人関係になるまでの過程が本作では一切(一部を除く)省略されている。ゲームの開始時点で主人公と開始に際して選択したヒロインは恋愛関係にあり、作中で攻略キャラが替わったりという事もない。選択肢によるフラグを気にしないでプレイする事が出来るという点は、エロが第一の魅力である本作では非常な利点となっている。
 とはいえ、選択したヒロイン以外のキャラとの絡みが無くなる訳ではなく、“恋の鞘当て”のポジションとして、主人公とヒロインのカップルに様々なちょっかいを出してくる。ヒロインがそれに対して抱く嫉妬の表現など、単純さを損なわない範囲で、シナリオの幅を広げている事に対しても一定の評価を与えるべきだろう。
 エロを前面に置いた“抜きゲー”と呼ばれるジャンルは、昨今のシナリオ重視の作品群に比べると、ストーリー上に無理がある場合が少なくない。そもそもHCGを見る事を目的とするゲームと、シナリオの一局面としてHCGが用意されているゲームのシナリオを同一線上に置いて評価する事自体が間違っているとも考えられるが、現在の主流が後者である以上、前者もシナリオにそれなりの重心を置く事が要求されてくるの自然な事だろう。
 本作ではその無茶な展開(ユーザーの求める様々な嗜好への対応、ヒロインが冒頭から喋る卑猥なセリフへのニーズ)をシナリオ上において可能にする為に、作中のH描写を全てコスプレの一環として扱っている。コスプレが持つ非日常的な部分、“役になりきる”という要素をこれらの“通常において無理を感じさせる点”を日常的にする為の説得方法として使用している。また本作ではそれに終わる事なく、コスプレをシナリオ上の重要な要素として組み込む事で、不足と思われがちなシナリオに独自の魅力を持たせる事にも成功している。
 量的な面を言うと、メインヒロインの二人には本編の後日談であるエピローグやハーレムルートもクリア後のおまけ要素として用意しており、ボリューム的にも文句はないと言いたい所なのであるが、サブヒロインのシナリオが一種のオマケ的な要素であったのが残念だったメインヒロイン並とは言わないまでも、もうすこしボリュームがあれば非常に良かったように思う。(サブヒロインがメインヒロインのシナリオにおいて非常に良い存在感だっただけに尚更だ)

 

CG・・・19点/20点

 まず残り1点について説明したい。本作では様々なコスチュームを選んでプレイする事が出来るが、そのコスチュームでの立ちCGが存在しない。(各キャラ1種類すつ)多彩なコスチュームを第一のセールスポイントとしているのであるから、当然期待していたわけで、この点が残念で仕方がない。
 逆に言えばCGの評価では、他に文句が全く見つからない。早くから雑誌等で公開されてユーザーの期待を煽った見本のCG以外も、同様のレベルを維持しており全般的に素晴らしい出来となっている。若干、CGの使いまわしが見られる点は残念だが、CG自体が高水準の出来である為に、あまり目に付かない。また総量が多い中での重複であるので、ある程度は止むを得ないという考えも出来るだろう。
 本作はコンセプトのひとつに巨乳がある為、登場人物も当然だが巨乳揃いである。(B80のキャラが胸が小さい事をコンプレックスにしている事から、それは想像できるのではないだろうか?)通常の巨乳キャラよりも強調されている為、ユーザーを選ぶ可能性がある。この点に関しては事前にチェックしておいた方が無難だろうと思われる。

 

システム・・・14点/15点

 本作はひとつのコスチュームにつき、二つのシチュエーションが楽しめるようになっている。女性主導のフェイズと、役になりきったフェイズがそれに当たる。(サブヒロインは除く)CGは両方で共通しているので、ボリュームをCGの量よりも多く見せる為のメーカー側の工夫と邪推する事も出来るが、ここは発想の面白さを評価すべきだろう。が、欲を言えば役になりきって行うという設定の中で、更に純愛系の選択と鬼畜系の選択という風に幅を持たせて欲しかった所だ。純粋にコスプレ目当てでプレイしたユーザーはともかく、テキストだけでももう少しバリエーションを持たせるべきだったように思う。
 本作は最初からヒロインとの間に恋愛関係が存在しているが、隠しパラメータ(クリア後は公開される)として好感度が設定されている。これはそのシチュエーションのプレイ内容によって上下する(多くはオシオキHで上昇し、なりきりHの内、鬼畜的な描写がある場合で下降する)が、それがクリア後のおまけ要素の開示要素となっていたり、一部で展開が異なってくるという効果をもたらす。つまり本作を楽しみつくす為にはパラメータの操作を行う必要があるわけだが、調教SLGと違い、非常に単純な形になっており、1周目では選択しきれなかったシチュエーションをプレイしていたら隠し要素が開示される程度と思って良い。遊ぶ度に新しい要素が開示される程度の難易度はユーザーのモチベーションを保つのに、一定の効果があるだろう。

 

総論・・・45点/50点

 非常に手堅く作られた良作というのが本作への感想である。雑誌やネットなどで公開されているCGに魅力を感じたユーザーならば、本作をプレイして損をするかも知れないという心配は全く必要がない。最近では18禁の指定をH描写以外の点で利用するゲームも少なくないが、本作ではエロだけに主眼が置かれており、煩わしい操作やシナリオ(これについては賛否両論かもしれないが)は一切省かれている。まさに『巨乳の女の子が色々なコスチュームを着て、卑猥なセリフを連発してくれるゲーム』であり、シナリオはそれにある程度の骨格を与えているに過ぎない。
(純愛系などで重要な要素となりうるヒロインの心の葛藤や過去は、本作では非常に簡単な形となって扱われている)
 評者が本作に付けた評価は非常に高いものとなっているが、最近の主流派を形成している純愛系の作品群と同じようなつもりでプレイをすると、この評価は高すぎると感じるユーザーもいるかも知れないが、本作はまずエロありきの作品であるという事を念頭において、細かい設定や背景は気にせずにプレイすれば、きっと楽しめる事は疑いのないところだ。

 

 

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